不動産売却時における「人・物・意思」ってなに?

司法書士は、職務上の重要な義務として、登記手続きの依頼者(本人)につき、
「人・物・意思」という3つの事項を確認させていただきます。
簡潔に記載しますと、下記のようなイメージとなります。
「人」とは、 依頼者が登記手続きにおける本人であること
「物」とは、 登記手続きの対象
「意思」とは、依頼者本人による登記手続きを行う意思があること
原則として、これら3つの事項がきちんと確認できなければ、登記手続きを進めていくことができません。
なぜなら、「人」の確認がとれない場合、つまり不動産の売主が本人ではなく赤の他人からの依頼だった場合には、本人に無断で手続きを進めていってしまったことにより、本人にとって予期せぬ不利益や損害をもたらしてしまう重大なリスクがあるためです。
このことは、「物」と「意思」についても同じようなことがいえます。
さらに、3つの事項のうち、特に問題になりやすい事項が「意思」になります。
例えば、不動産の売却等に伴う登記手続きの際において、売主である本人が施設に入ってしまっており、認知症などの症状が出てきてしまっている場合に、「意思」の確認が取れないケースがあります。
このようなケースが近年の不動産取引では増えてきています。
本人による「意思」の確認が取れなければ、売却手続き及びそれに伴う登記を進めていくことはできません。
なぜなら、本人の「意思」のない売却は法律上無効だからです。
たとえ、推定相続人の同意があっても有効になることはありません。
このような場合、本人の法定代理人となる成年後見人を家庭裁判所に選任していただく必要が出てきます。
一刻も早く不動産を売却したいのにもかかわらず、本人が認知症になってしまい売却の意思表示ができないがゆえに、手続きがストップしてしまうという歯がゆい事態に陥ってしまうのです。
その結果として、解決方法が限定されてしまい、売却手続きの完了までに通常よりもだいぶ時間を要してしまうことになります。
このような事態を回避するための方法は、前もって適切な準備と対策をしておくことただ一つです。
しかし、ご自身だけでその準備を進めていくことは困難であるため、専門家の力を借りながら、二人三脚で適切な準備をして、いざというときに困らないようにしておくことが大切です。
前もってご相談にいらしていただければ、落ち着いて将来のリスクに備えて様々な解決策を講じておくことができます。
「何か起きてからではなく、何か起きる前に相談しておく」
これが専門家を賢く活用するためのポイントとなるのではないでしょうか。