外国籍・海外居住の方の登記手続き
登記手続きの当事者となる方が外国籍または海外居住の場合における登記の話です。
日本在住の日本人であれば登記手続きに必要な住民票や印鑑証明書を、日本国内で取得できるわけですが、海外居住の日本人ないし外国人の方ですとそうはいきませんので、原則として、本国にて書類を手配いただくことになります。
外国で取得できる代表的な書類としましては、下記の書類があります。
※令和6年4月1日以降、不動産登記において宣誓供述書は単独では住民票の代わりとすることができなくなりますのでご注意ください。
| ◇署名(サイン)証明書 | いわば「印鑑証明書」としての役割を持つ書類 |
| ◇宣誓供述書 | いわば「住民票(の一部)」や「外国会社の本店の存在の証明書等」としての役割を持つ書類 |
| ◇在留証明書 | いわば「住民票または戸籍の附票」としての役割を持つ書類 |
各国ごとに取得すべき書類の形式や名称は異なり、なかには日本国内と同じように書類が取得できたりする国も存在し、宣誓供述書など現地公証人による認証及び作成が可能な書類もございます。
手続きを行うべき日付が事前に決まっている場合には、スケジュールを逆算しながら余裕をもって必要な書類の手配を進めていくことがとても重要になります。
特に、不動産取引(売買)を安全かつスムーズに完了させるためにも、前もって書類の準備に取り掛かることで、直前になって書類の手配が間に合わず取引が延期または中止といった事態に陥ることを避けることができます。
登記以外の手続きにも原本を使用する予定がある場合には、事前に取得すべき枚数を把握しておくと万全です。
外国から日本へ書類を発送する際にも、日本国内での郵送手続きと異なり、諸事情によりかなり時間がかかってしまうこともあり得るので、余裕をもって書類を手配しておき、手元に置いておくとより安心です。
外国で取得する書類については、実は期限が設けられていない書類もありますので、前もって取得しておいたものを登記手続きの添付書類として使用できたりもします。
見落としがちな点としましては、登記における添付書類としては必ず原本の添付が求められますので、書類はコピーではNGであることは知っておいてください。
事前に取得した書類についても法務局において登記手続きの添付書面として認められるだけの形式・内容になっているのかどうかを外国から発送する前にメールなどで事前に確認してもらうと良いでしょう。
被相続人が外国籍の方の相続登記手続き
「被相続人」の方の国籍により、相続登記手続きの進め方が通常とは異なるケースがあります。
簡潔に説明しますと、相続が発生した際に、本国法と日本法のいずれを適用するのかという点からスタートし、最終的に日本国内における相続を原因とする不動産登記手続きへと落とし込んでいきます。
被相続人に遺言書があった場合、その内容によっては、適用すべき法律にも影響を及ぼすことがありますので、遺言書の有無は確認が必要となります。
被相続人が日本の不動産を所有していた場合には、たとえ外国籍であったとしても、日本の法務局へ相続登記を申請する必要があります。この点は、被相続人が日本国籍の場合と同じです。
被相続人の国籍により、適用すべき法律、相続手続きの進め方、必要書類などまるっきり変わってしまうこともあるため、ご自身では難しいと感じた場合には迷わず専門家へ相談しましょう。
相続人が外国籍の方の相続登記手続き
「相続人」の方が外国籍の場合には、住民票・印鑑証明書などの書類が発行されるケースとされないケースがあります。
発行されるケースでは、住民票・印鑑証明書につき、問題なく取得できますが、戸籍謄本につき、外国籍の方には発行されないため、本国発行の戸籍謄本に代わる書類などを取得する必要があります。
余談ですが、日本と同じく戸籍制度を維持している国には中華人民共和国と台湾があります。韓国では、従来の戸籍制度は廃止され、新たに家族関係登録制度が始まりました。
発行されないケースでは、住民票・印鑑証明書の代わりとなる書類、本国又は居住国の政府作成の住所証明情報・宣誓供述書及び旅券の写し等、署名(サイン)証明書などを取得する必要があります。
また、相続人が外国籍である場合や海外に居住している場合にも、相続税はかかってきますので、ご注意ください。(免除になるわけではありません。)
海外居住者(自然人・法人)が不動産を取得する際の話
令和6年4月1日以後、海外居住者(自然人・法人)が、不動産を取得(売買、贈与、相続など)し、所有者(共有者を含む)となる際に、登記申請書に「国内における連絡先となる者の住所・氏名等の国内連絡先事項」を申請情報として提供する必要があります。
添付情報として、国内連絡先事項を証する情報、国内連絡先となる者の承諾情報及び国内連絡先となる者の印鑑証明書(又は電子署名及び電子証明書)を法務局へ提供する必要があります。
ちなみに、国内連絡先となる者は、自然人・法人のどちらでもOKです。
なお、国内連絡先となる者がない場合には、その旨の上申書の提出が求められています。
外国居住の外国人や外国法人に関する住所証明情報について
令和6年4月1日以後、不動産を取得(売買、贈与、相続など)し、所有者(共有者を含む)となる際に、住所証明情報として下記書類を添付するように改められました。
外国に住所を有する外国人(自然人)のケース
(1) 登記名義人となる者の本国又は居住国の政府の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)
(2) ㋐登記名義人となる者の本国又は居住国の公証人の作成に係る住所を証明する書面(宣誓供述書)+㋑旅券の写し
上記(1) or (2)いずれかを選択することができます。但し、(2)の場合には、㋐と㋑の両方が必要になります。外国語で作成された書面には訳文もあわせて添付する必要があります。
外国に住所を有する法人のケース
(1) 登記名義人となる者の設立準拠法国の政府の作成に係る住所を証明する書面(これと同視できるものを含む。)
(2) ㋐登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面(宣誓供述書)+㋑登記名義人となる者の名称の記載がある設立準拠法国の政府の作成に係る書面等の写し等
上記(1) or (2)いずれかを選択することができます。但し、(2)の場合には、㋐と㋑の両方が必要になります。外国語で作成された書面には訳文もあわせて添付する必要があります。